第17回 ネットワーク生態学シンポジウム
開催日:2022年3月2日(水)
開催地:オンライン(ZOOMとSpatialChat)
計算社会科学会 との連続開催
ポスター優秀賞
2022年3月2日にオンライン開催された第17回ネットワーク生態学シンポジウムのポスター優秀賞は,参加者の投票により宮崎 聖人さん,高橋 伸幸さん(北海道大学)の「ゴシップの適応論的意義のシミュレーションによる解明」に決定しました.
シンポジウム概要
第17回ネットワーク生態学シンポジウムは,2022年3月2日(水)にオンラインで開催を予定しています.
今回も計算社会科学会と連続開催で実施します.オンライン開催のため,参加費は無料です.
今回は3件の招待講演および,ポスター発表を行います.
ネットワーク研究を始めようとする大学生,大学院生から,ネットワークについて造詣の深い研究者まで 幅広い層がお互いに刺激し合えるようになっておりますので,皆様ふるってご参加下さい.
ポスターセッションでは,「ネットワーク」に関わる 情報通信,統計物理, アルゴリズム, 生物学,経済学,社会学などの分野からポスター発表を幅広く募集致します.
おもなトピックス
複雑ネットワーク(スモールワールド・スケールフリーモデル)
ウィルス拡散や連鎖的被害(停電、渋滞、倒産など)の防御策
Webポータルやコミュニティの抽出
企業等のソーシャルキャピタルの調査・活用, ブログ解析
情報空間の可視化
ネットワーク経済指標
ネットワーク中心性
SNS, 口コミや情報流通
生物的・社会的メカニズムに誘発されたネットワーク設計
動的適応通信,自律分散システム
P2P,センサやアドホックネットワーク
自己組織化経営
重要日程
発表参加申込締切:2022年
1月31日(月)-> 延長:2月21日(月)発表者名,発表タイトル,著者リスト,概要300字,論文(Extended abstract)
論文締切:2022年2月25日(金)アップロード方法は参加申込者に別途通知します
聴講参加申込締切:2022年
2月18日(金)-> 延長:2月25日(金)シンポジウム開催日:2022年3月2日(水)
提出論文(Extended abstract)について
フォーマット:任意(A4サイズ)
1ページ目にタイトル,著者名,所属を含むこと
ページ数:2ページ
ファイル形式:PDF
提出締切:2022年2月25日(金)
アップロード方法は参加申込者に別途通知します
ポスターについて
SpatialChat(https://spatial.chat/)を使用したオンラインポスターセッションを開催予定です
フォーマット:任意(A1横長サイズ<縦594mm,横841mm>)
ファイル形式:SVGまたはPDF(SVG形式に変換して使用します)
提出締切:2022年2月25日(金)
アップロード方法は参加申込者に別途通知します
プログラム(確定版)
2022年3月2日(水)
10:00-10:10 オープニング
10:10-11:10 ポスター優秀賞記念講演(筑波大学・久壽米木 啓悟様)
11:10-11:20 休憩
11:20-11:55 ポスターショートアピールタイム(1人:3分)
11:55-12:00 SpatialChatのレクチャー
12:00-13:00 ポスターセッション
13:00-14:00 昼食(幹事MTG)
14:00-15:00 招待講演(理化学研究所・村瀬 洋介様)
15:00-15:10 休憩
15:10-16:40 ネットワーク勉強会(東京大学・三浦 崇寛様)
16:40-16:45 クロージング
ポスター優秀賞記念講演
講演者:久壽米木 啓悟(筑波大学大学院)
タイトル:学術論文における謝辞ネットワーク構築と構造
概要:
学術論文に見られる謝辞には、研究協力者への感謝,研究費の提供元などが、比較的自由な文面で記載されている。謝辞に見られる研究協力者への言及は、引用や共著と同様、その研究への貢献を示すと同時に,研究者間の人間関係を示している。しかし,謝辞文面の自由度の高さや個人の特定が困難なことなどを理由に,謝辞に見られる研究者間の関係に対して大規模な研究を行っているものは少ない。
そこで我々は、オープンアクセスジャーナルから収集した謝辞データと、大規模な学術データ(Microsoft Academic Graph)とを統合することで、謝辞で言及されている研究者の特定を行った。そのデータから研究者間の関係を示す、18万ノードからなる謝辞ネットワークを構築し,その構造について紹介する。
ポスターセッション
P1:松林 達史(ALBERT)/田中 駿祐(ALBERT):逐次的グラフマッチングを用いた複数カメラ間での物体追跡
P2:大久保 雄太(広島市立大学)/今井 哲郎(広島市立大学):看護系論文共著ネットワークにおける地縁情報を用いたリンク予測
P3:松林 達史(ALBERT)/水船 公輔(ALBERT)/行武 俊秀(ALBERT,明治大学):階層的Modularity分割を用いた教師なし動画シーン境界検出
P4:山野 泰子(東京大学)/John Jongho Park (Penn State University):サステナビリティ教育におけるアンケート調査に基づく学生の認識の変化の分析
P5:伊藤 柊太(東京工科大学)/伏見 卓恭(東京工科大学):動的ハイパーグラフのEmbeddingによる重要構造変化の解析
P6:宮崎 聖人(北海道大学)/高橋 伸幸(北海道大学):ゴシップの適応論的意義のシミュレーションによる解明
P7:劉庶(東京大学)/鳥海不二夫(東京大学):実ネットワークにおける構造的マルチラベルのマイニング
P8:岡本洋(東京大学)/鈴木雄大(東京大学):マウス視覚野高解像コネクトームにおけるコミュニティ構造:腹側および背側経路
招待講演
講演者:村瀬 洋介(理化学研究所 計算科学研究センター)
タイトル:社会ネットワークの数理モデリング
概要:
近年、情報通信技術の発展によりいわゆるビッグデータへのアクセスが可能になり、人々の活動の定量的な観測が可能になったことは広く一般にも知られている。そのように観測される人間の社会活動のうち、最も根幹的なものは人と人との交流のネットワーク(社会ネットワーク)であろう。感染症の拡大、誤情報の伝播、社会の分断など現代における諸問題は社会ネットワーク上でおきる現象であり、その解決には社会ネットワークが形成されるメカニズムを理解することが重要となる。
特に私は「個人間の行動がどのように大局的なネットワーク構造に影響を与えるか」というミクロとマクロの関連に興味を持ち、数理モデルによる一連の研究を行ってきた[1-4]。本講演では、これまでの研究からいくつかをピックアップして共有したい。
[1] Y. Murase, H.-H. Jo, J. Török, J. Kertész, K. Kaski “Sampling networks by nodal attributes” Physical Review E, 99, 052304 (2019)
[2] Y. Murase, H.-H. Jo, J. Török, J. Kertész, K. Kaski “Structural transition in social networks: The role of homophily” Scientific Reports, 9, 4310 (2019)
[3] J. Kertész, J. Török, Y. Murase, H.-H. Jo, K. Kaski, “Modeling the Complex Network of Social Interactions” In Pathways Between Social Science and Computational Social Science (pp. 3-19). Springer, Cham. (2021)
[4] Y. Murase, H.-H. Jo, J. Török, J. Kertész, K. Kaski “Deep Learning Exploration of Agent-Based Social Network Model Parameters” Frontiers in Big Data, 4, 86 (2021)
ネットワーク勉強会
発表者:三浦崇寛(東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程)
発表論文タイトル:Scaling up real networks by geometric branching growth
発表論文著者:Muhua Zheng, Guillermo García-Pérez, Marián Boguñá, and M. Ángeles Serrano
発表論文URL:https://www.pnas.org/content/118/21/e2018994118.short
発表論文Abstract:
Real networks often grow through the sequential addition of new nodes that connect to older ones in the graph. However, many real systems evolve through the branching of fundamental units, whether those be scientific fields, countries, or species. Here, we provide empirical evidence for self-similar growth of network structure in the evolution of real systems—the journal-citation network and the world trade web—and present the geometric branching growth model, which predicts this evolution and explains the symmetries observed. The model produces multiscale unfolding of a network in a sequence of scaled-up replicas preserving network features, including clustering and community structure, at all scales. Practical applications in real instances include the tuning of network size for best response to external influence and finite-size scaling to assess critical behavior under random link failures.