第12回 ネットワーク生態学シンポジウム
開催日:2015年8月3日(月)-4日(火)
開催地:静岡県伊東市 山喜旅館
ポスター優秀賞
2015年8月3日(月)-4日(火)の2日間,静岡県伊東市 山喜旅館にて開催された第12回ネットワーク生態学シンポジウムのポスター優秀賞は,参加者の投票により伊東啓さん, 赤池祐樹さん, 守田智さん, 吉村仁さん(静岡大学)の「ボンド・サイト同時破壊に対するネットワークモデルの頑健性 」に決定しました.
シンポジウム概要
第12回目のシンポジウムとなる今回は,2015年8月3日(月)-4日(火)の2日間,静岡県伊東市 山喜旅館にて合宿形式で開催致します.今回は2件のチュートリアル講演を行います.
また,一般発表はすべてポスター発表にすることで,多くの参加者とのより深い議論が可能になっています.ネットワーク研究を始めようとする大学生,大学院生から,ネットワークについて造詣の深い研究者まで幅広い層がお互いに刺激し合えるような合宿となっておりますので,皆様ふるってご参加下さい.
ポスターセッションでは,「ネットワーク」に関わる情報通信,統計物理, アルゴリズム, 生物学,経済学,社会学などの分野からポスター発表を幅広く募集致します.
おもなトピックス
複雑ネットワーク(スモールワールド・スケールフリーモデル)
ウィルス拡散や連鎖的被害(停電、渋滞、倒産など)の防御策
Webポータルやコミュニティの抽出
企業等のソーシャルキャピタルの調査・活用, ブログ解析
情報空間の可視化
ネットワーク経済指標
ネットワーク中心性
SNS, 口コミや情報流通
生物的・社会的メカニズムに誘発されたネットワーク設計
動的適応通信,自律分散システム
P2P,センサやアドホックネットワーク
自己組織化経営
重要日程
発表参加申込締切:2015年7月6日(月)-->延長:7月15日(水)
発表者名,発表タイトル,著者リスト,概要300字,論文(Extended abstract)
論文締切:2015年7月15日(水)アップロード方法は参加申込者に別途通知します
聴講参加申込締切:2015年7月15日(水)
シンポジウム開催日:2015年8月3日(月)- 4日(火)
提出論文(Extended abstract)について
フォーマット:任意(A4サイズ)
1ページ目にタイトル,著者名,所属を含むこと
ページ数:2ページ
ファイル形式:PDF
提出締切:2015年7月15日(水)
アップロード方法は参加申込者に別途通知します
ポスターについて
SpatialChat(https://spatial.chat/)を使用したオンラインポスターセッションを開催予定です
フォーマット:任意(A1横長サイズ<縦594mm,横841mm>)
ファイル形式:SVGまたはPDF(SVG形式に変換して使用します)
提出締切:2015年7月15日(水)
アップロード方法は参加申込者に別途通知します
プログラム(確定版)
8月3日
12:30-13:30受付
13:30-13:40オープニング
13:40-15:10チュートリアル講演1 村田先生
15:10-15:30休憩
15:30-17:30ポスターセッション(奇数番コアタイム)
17:30-18:00休憩
18:00-BBQ懇親会
8月4日
07:30-08:30朝食
08:30-10:00自由討論
10:00-11:30チュートリアル講演2 佐藤先生
11:30-13:00昼食+運営委員会
13:00-15:00ポスターセッション(偶数番コアタイム)
15:00-15:10クロージング
ポスター優秀賞記念講演
講演者:久壽米木 啓悟(筑波大学大学院)
タイトル:学術論文における謝辞ネットワーク構築と構造
概要:
学術論文に見られる謝辞には、研究協力者への感謝,研究費の提供元などが、比較的自由な文面で記載されている。謝辞に見られる研究協力者への言及は、引用や共著と同様、その研究への貢献を示すと同時に,研究者間の人間関係を示している。しかし,謝辞文面の自由度の高さや個人の特定が困難なことなどを理由に,謝辞に見られる研究者間の関係に対して大規模な研究を行っているものは少ない。
そこで我々は、オープンアクセスジャーナルから収集した謝辞データと、大規模な学術データ(Microsoft Academic Graph)とを統合することで、謝辞で言及されている研究者の特定を行った。そのデータから研究者間の関係を示す、18万ノードからなる謝辞ネットワークを構築し,その構造について紹介する。
ポスターセッション
1.複数レイヤー社会ネットワークモデル 村瀬洋介, Janos Torok, Hang-Hyun Jo, Kimmo Kaski, Janos Kertesz(理研AICS, CREST JST, Central European Univ., POSTECH, Aalto Univ.)
2.片方向バイパスを持つラダーネットワークにおけるブライスのパラドックス 小倉史帆 豊田規人(北海道情報大学)
3.辺活性化メカニズムに基づくネットワーク生成モデル 関和紀,中村政隆(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系)
4.解像度変調に基づくコミュニティ階層構造の導出 邱 シュウレ, 岡本 洋(富士ゼロックス(株) 研究技術開発本部 )
5.分割データによる回遊行動変化の検出 鈴木優伽,斉藤和巳,風間一洋(静岡県立大学,静岡県立大学,和歌山大学)
6.教師生徒型強化学習におけるアドバイスのための複雑ネットワーク 石井 良 , 須鎗 弘樹/Ishii Ryo , Suyari Hiroki(千葉大学大学院融合科学研究科/Chiba University Graduate School of Advanced Integration Science)
7.自己中心トライアド変化曲線によるユーザ分析 西 可南子,斉藤 和巳, 池田 哲夫,大久保 誠也(静岡県立大学)
8.流動性ショックの伝播とコール市場の脆弱性 赤堀 晃平(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 人間環境学専攻)
9.レビュー評点時系列データの区間分割に基づく時期的信頼を考慮したランキング手法 山岸 祐己,斉藤 和巳(静岡県立大学)
10.Greedy Growth Modelを用いたネットワーク構造と社会現象の分析 臼井翔平,鳥海不二夫(東京大学大学院).
11.スケールフリー分布生成モデルの適応度依存性 荒関 仁志(日本大学大学院総合社会情報研究科)
12.ボンド・サイト同時破壊に対するネットワークモデルの頑健性 伊東啓 赤池祐樹 守田智 吉村仁(静岡大学)
13.航空交通ネットワークにおけるバースト性 伊藤秀剛、西成活裕(東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻)
14.複雑ネットワーク上の自己回避ランダムウォークのシミュレーション史 興, 豊田 規人(北海道情報大学)
15.国内旅客純流動データに基づくエージェントベースドSIR感染シミュレーションに関する研究 井手清貴, 生天目章(防衛大学校)
16.隣接関係を考慮したノード群へのアノテーション付与法 伏見卓恭,佐藤哲司,斉藤和巳,風間一洋(筑波大学,筑波大学,静岡県立大学,和歌山大学)
17.Systemic risk propagation in bank-asset network: new perspective on Japanese banking crisis in the 1990s 1. Yohei Sakamoto, 2. Irena Vodenska(1. Kyoto University, 2. Boston University)
18.ネットワーク構造の一意的代表表記法について 川原正人(なし)
19.混合パターンに基づくネットワークの類似構造分析 アリフ マウラナ 斉藤 和巳 池田 哲夫 渡邉 貴之 湯瀬 裕昭 (静岡県立大学 静岡県立大学 静岡県立大学 静岡県立大学 静岡県立大学 )
20.ソーシャルネットワークにおける感情の伝播 横山直敬,牧野浩典(東海大学大学院工学研究科情報理工学専攻)
21.ソフトクラスタリングを用いた情報分類 馬場正剛†、鳥海不二夫†、榊剛志†、篠田孝祐††、栗原聡††、風間一洋†††、野田五十樹††††(†東京大学、††電気通信大学、†††和歌山大学、††††産業技術総合研究所)
22.非負値スパーステンソル因子分解の高速化 松林達史,澤田宏(NTT)
23.日本国内の航空ネットワーク:構造と脆弱性 トラン アン,井手 清貴,生天目 章(防衛大学校,情報工学科)
24.産業連関ネットワーク解析のための疎化処理と閾値の関係について 土中哲秀 小野廣隆(九州大学)
25.どのようなネットワークのときに利他行動は進化しやすいか 黒川瞬、井原泰雄(無所属(黒川瞬)、東大院理(井原泰雄))
26.BA モデルにより生成されたネットワークに対する伝搬速度限定モデル情報伝搬シミュレーション 谷 聖一,枝國 雄太,香取 秀柄,逸見 優聡,豊泉 洋(日本大学文理学部,早稲田大学会計研究科)
チュートリアル講演
講演者
村田剛志 氏(東京工業大学 大学院情報理工学研究科)
題目
「Multilayerネットワークとコミュニティ抽出」
概要
ネットワーク分析においては、単一種類の辺や頂点からなるネットワーク構造として対象世界を表現することが多い。そのような表現も重要ではあるが、対象世界がもつ多様な情報を過度に捨象してしまうことが少なくない。本講演では、現実の多様な構造データを表現し分析する枠組みとして注目されているMultilayerネットワークについて概説するとともに、コミュニティ抽出や可視化のためのツールなどについても紹介する。
講演者
佐藤彰洋 氏(京都大学 大学院情報学研究科)
題目
「社会経済システムに対するデータ中心科学:空間リスク、経済、エネルギーをめぐって」
概要
本講演では社会経済システムにおけるデータの収集、蓄積、分析、解釈を通じたデータ中心科学の方法が我々の社会経済システムを研究するためにどのように利用できるかについて、特に、社会経済システムのネットワーク構造の把握、空間リスク、経済性、エネルギー消費の観点からの分析結果を交えながら紹介する。初めに、Aki-Hiro Sato, Applied Data-Centric Social Sciences (2014) Springer, (Tokyo)の空間計量の箇所を解説する。次に、我々の社会経済システムに対してレジリエンスを実装するための方法を紹介する。我々の社会にレジリエンスを実装していくためには、現状の状態を計測し、将来のリスクを予見しつつ、経済社会システムを多層的システムの連関として捉えることにより、その構造の可視化を行い、脆弱箇所の特定を行っていく必要がある。本講演では、空間リスクを空間に存在する潜在的な危険因子の発生確率(ハザード)と、その場所で危険に曝されている経済社会的な価値の積として定量化される物理的エクスポージャーとして定量化し、日本国内における物理的エクスポージャーの空間分布を計量した結果と、航空輸送ネットワークにおけるリスクを計量した結果について報告する。また、持続可能な発展を社会経済システムに取り入れるために、経済とエネルギーとの関係から、我々の社会経済システムの状態が地域的にどのように異なっているかについて定量的に調べ、リスク、人口、雇用、エネルギー消費等がどのように関連するかを示す。最後に、社会経済システムのネットワーク構造をどのようにデザインするべきか、また、政策決定者に科学を道具として利用してもらえるために、科学者がどのように行動していくべきかについて、グローバルシステム科学(Global Systems Science; GSS)の取り組みを紹介する。