情報処理学会ネットワーク生態学シンポジウム


ポスター一覧

  • 8月22日15:30-17:30:奇数番コアタイム
  • 8月23日13:00-15:00:偶数番コアタイム
1.同調圧力がネットワーク上の進化ワクチンゲームに与える影響
一ノ瀬元喜(静岡大学)
インフルエンザのような感染症を防ぐためには,予防接種(自発的ワクチン接種)が有効であるが,接種にはコストがかかり,さらに集団免疫により感染リスクが大幅に減少することも相まって,他人には接種してほしいが自分は接種したくないという社会ジレンマが存在する.本研究では,ネットワーク上の自発的ワクチン接種行動に対する同調圧力の影響を明らかにする.進化シミュレーションの結果,同調圧力はワクチンのコストに依存してワクチン接種を促進する効果と抑制する効果の両方の影響があることが分かった.特に非均一ネットワークにおいては,コストが一定の値に達するまではワクチン接種行動を促進することが分かった.
2.情報通信産業における生態ネットワーク
池末成明(総合研究大学院大学)
1)数理生態系モデルによる情報通信産業の契約数等の動的変動の実証研究の成功事例と失敗事例を整理する。
2)共同研究のおける産業化への橋渡しの先行研究を整理し、アセアンの共同研究を実例に、その実証の可能性を検討する。
3)2)で経験したROF(Radio Over the Fiber)やセンサーネットワークの経済性(コスト)と効率性(利便性)のバランスをどのように構築するか1)での成果で得た、N次元の完全グラフがN−1次元の三角形の多面体であることに注目し、これを無限次元で扱うことでゼータ関数を使ったゲームモデルで実証的に扱う可能性を検討する
4)タイでのネットワークの代替性について、1)による検証を行い、また次世代へのアクセスネットワークの代替性への活用を検討する。
5)平行して検討している分散制約最適化問題(Distributed Constrain Optimization, DCOP)の活用を検討する。
締め切りまでに、どこまでポスターで発表できるか、整理します。
発表では、2)または4)に限定するかもしれませんが、数理モデル化できるか実証の確証がもてていません。
3.社会関係の強さに基づく社会的グルーミング戦略の適応性
高野雅典,一ノ瀬元喜(株式会社サイバーエージェント 秋葉原ラボ,静岡大学 学術院工学領域 数理システム工学系列)
ヒトは社会関係の強い間柄に限定して利他的な振る舞いを見せることがある.したがって他者からの利他的振る舞いを受けるためには,他者との強い社会関係を構築しておくことが重要である.しかし,社会関係の構築・維持をするための社会的グルーミングの時間的コストは大きく,誰とでも強い社会関係を構築することはできない.そのような制約の元,構築されたヒトの社会関係の強さ(コミュニケーションの頻度)の分布は非常に偏っており,ベキ則を示す.この偏りは社会関係の強さに基づく社会グルーミング戦略の存在を示唆する.本研究では,“利他個体の利他行動という限られた資源を巡る競争” のために個体は時間というコストを支払って社会関係を構築・維持すると考え,個体ベースモデルに基づいた進化シミュレーションを行った.その結果,社会環境(集団サイズと資源の量)が進化ダイナミクスに大きな影響を与え,以下の3つの相が発生しうることを発見した.小さな集団においてわずかな資源しか存在しない社会では狭く深い社会関係が構築され,豊富な資源が存在する社会では非常に広く浅い社会関係が構築された.そして,両者の中間領域において,社会関係の強さはベキ則に従った.これはヒトの社会関係のデータと類似するため,そのような環境条件において進化した可能性がある.
4.人口分布に従った遅延耐性ネットワークの最適化
GAO YANG, 林 幸雄(北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
大規模災害が発生した後の緊急通信法として、人口分布に従った遅延耐性ネットワークを構築する。各ノードのテリトリー内人口の積に比例した通信要求量に対して、通信を行う2ノードの間に、複数の最短パスが存在する時のメッセージフェリーの最適割当数を求める。
5.伝搬速度限定モデルの情報伝搬シミュレーションと考察
皆川 拓,谷 聖一,豊泉 洋(早稲田大学大学院基幹理工学研究科,日本大学文理学部,早稲田大学会計研究科)
ネットワーク上の情報拡散モデルの一種として、伝搬速度限定モデル[1]が考えられている。このモデルでは、隣接頂点の次数の逆数に比例する確率で情報を拡散する方法(Reverse preferential control)により、Uncorrelated性を持つネットワークであれば、情報が伝搬する平均時間が最小になることが証明されている[1]。この事柄について、谷らはBAモデルやコンフィグモデルによりネットワークを生成し、情報伝搬シミュレーション結果を示している[2]。そのシミュレーション結果によると、Uncorrelated性を完全に満たさないネットワークにおいてもRPCによる方法が優位であると述べられている。本発表ではさらに低次数のノードを優先する度合いを高めた、隣接頂点の次数の3/2乗に比例する確率で情報を拡散する方法による情報伝搬シミュレーション結果を示す。シミュレーションでは、ネットワークのノード全体への情報拡散においては従来の方法(RPC)よりも有効であることがわかった。
[1] H. Toyoizumi, S. Tani, N. Miyoshi, and Y. Okamoto, “Reverse preferential spread in complex networks,” Phys. Rev. E, vol. 86, p. 021103, Aug 2012.
[2] 谷聖一,枝國雄太,香取秀柄,逸見優聡,豊泉 洋,”BA モデルにより生成されたネットワークに対する伝搬速度 限定モデル情報伝搬シ ミュレーション”, 第12回ネットワーク生態学シンポジウム
6.経済・社会・環境データを用いた高機能なグローバル航空輸送ネットワークへの再編
澤井 秀文(1), 佐藤 彰洋(2)((1)国立研究開発法人 情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所, (2)京都大学大学院 情報学研究科/ PRESTO)
これまで我々は蟻の集団行動からヒントを得て、ランダムグラフから自己組織的に新しいスモールワールド・ネットワークを創発し、実世界の情報通信分野やロジスティックス分野への様々な応用について検討してきた。本発表では、実世界の経済・社会・環境データを用いて、これまで検討してきた国内航空輸送ネットワークの再編手法を世界の航空輸送ネットワークへと拡張する方法について述べる。
7.A Netwok Generation Model Based on Network Structures
FAN Chao, TORIUMI Fujio(Graduate School of Engineering, The University of Tokyo)
In real world social communication, people often belong to many communities, such as family, school and interest group. Based on the idea of multilayer network structures in network model, we assume such communities as layers of multilayer network. Therefore, the real-world network can be recognized as a superimposed network of each community.
To represent such features of network, we propose a network generation model by aggregating all layers of multiplayer network. Also, we change the parameter of model to obtain a number of networks and try to generate a network which is mostly similar to a real-world social network. Finally, the experimental result confirms the effectiveness of our proposed model.
8.多変量時系列データのネットワーク化について
谷澤俊弘・中村知道・Michael Small(高知工業高等専門学校・兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科・University of Western Australia)
相互関連する多変量の時系列データをネットワーク化する方法はいくつか提案されているが,その多くは,観測された時系列データ間の相互相関関数を計算し,恣意的に導入された閾値について,その閾値を超える相互相関関数を持つ時系列データを表わすノードを連結する,という原理に集約される。
我々は,1変数の時系列データに含まれる時間遅れの関係性を明らかにするために、時系列データから構築される統計モデルを用いる方法を提案した。[1] その方法に加え,最近,我々は,small shuffle surrogate method (SSS)と呼ばれる手法を用いれば,多変量時系列データ内の二体間の時系列データの関係性も従来の相互相関関数を用いて正確に特定できることを示した。[2]
今回の発表では,我々のこれらの方法を用いたいくつかのデータ解析例を紹介しながら,多変量時系列データのネットワーク化に関する統一的な理論的枠組み構築の可能性について議論する。
[1] T. Nakamura and T. Tanizawa, Physica A: Statistical Mechanics and Its Applications 391, 4704 (2012).
[2] T. Nakamura, T. Tanizawa, and M. Small, Physical Review E 93, 032323 (2016).
9.日本のTVアニメーション業界のネットワーク分析と可視化
吉澤康介 今井哲郎 三宅修平(東京情報大学)
日本国政府が提唱する「クール・ジャパン」政策の重要なコンテンツの一つとして、「アニメーション」が挙げられる。日本発のアニメーション作品は、我が国のみならず世界各地の若者を中心に支持され、日本の「ソフト・パワー」の重要な構成要素の一つとなっている。その一方で、日本のアニメーション業界は、低賃金・長時間労働、不安定な雇用、厳しい採算性など、各種の問題を抱えている。こういった状況を改善するためには、日本のアニメーション業界の構造を分析し、その特徴や長所・短所を理解する必要がある。本研究では、インターネット上のフリー百科事典Wikipediaから入手したデータ等を元に、業界の構造を、TVアニメーション作品を中心に「制作に携わる人と人とのネットワーク」として分析し、可視化する事を試みる。
10.仙台湾沿岸域における震災前後の森林の連結性の解析
平山英毅,富田瑞樹,原慶太郎(東京情報大学 大学院総合情報学研究科)
 生物にとっての生息地間の移動に関する研究テーマの一つには,連結性(connectivity)がある.連結性は,生息地間の生物の移動を促進する,あるいは阻害する度合いと定義されている.近年,連結性の定量的な解析手法の研究が進んでいる.具体的には,生息地を連結する距離の上限を設定することで生息地のネットワークを構築し,そのネットワークにおける生息地の面積や生息地間距離から連結性を定量的に表す手法などがあげられる.
 2011年3月の東北地方太平洋沖地震に伴う津波は,生態学的には,数百〜千年の時間スケールで生じた大規模攪乱と位置づけられる.この津波の影響で,海岸沿いに広がっていた森林は分断化され,震災後には,小面積の森林が点在するようになった.
 本研究では,当該地域の,震災前後の森林の連結性の変化を明らかにした.まず,震災前後の衛星データを用いて森林の分布を抽出した.次に,抽出した森林を用いて各時期の森林のネットワークを構築した.その際,3つの上限距離(短:100 m,中:500 m,長:2500 m)を設定した.最後に,それぞれのネットワークの連結性を解析した.
 中距離や短距離を設定したネットワークでは,沿岸部の森林が震災後にネットワークから孤立していた.また,震災前と比べると震災後の連結性は,どの上限距離においても大きく低下していることを明らかにした.
11.Webページの評価指標の妥当性の評価
永田裕史, 今井哲郎, 吉澤康介, 三宅修平(東京情報大学 総合情報学部)
インターネット上のWebページは、ハイパーリンクと呼ばれる有向リンクで接続され、巨大なグラフ構造を形成している。Web検索システムは、このグラフ構造で表現されるWebページを機械的にランク付けし、ユーザーにとって有益なWebページを提示する際の一つの判断材料としている。Webページの優先順位付けを行うための著名な指標として、PageRankとHITSアルゴリズムがある。
利用者が自由に執筆できるインターネット上のフリー百科事典であるWikipediaは、各記事のリンク構造やページビューをダンプデータとして得ることができる。そこで本発表では、インターネット上の全WebページのサンプルとしてWikipediaのページ群を取り上げる。Wikipediaのページ群の一部をPageRankとHITSアルゴリズムで評価し、それらを実際のページビューと比較することで、Webページの優先順位付けを行うための指標としての問題点を明らかにし、改善策を模索する。
12.非負値テンソル因子分解を用いた混雑予測技術
松林達史,佐藤大祐,幸島匡弘(NTT)
本研究では,非負値テンソル因子分解を用いた空間上での混雑予測技術を紹介する.本手法では,複数日の学習データを,Tucker分解をベースとした非負値テンソル因子分解を用いて基底パターンを抽出し,特定日のテストデータのオンライン予測を効率良く行う.本研究では実際のイベント実データを用いて,イベント開催の初日や,二日目のデータなどを用いて,最終日の混雑予測や人の流れの分析を行い,ガウス過程などの他手法との比較考察を実施する.
13.災害発生時における空間的拡がりをもつ被害を想定したネットワーク構築
山中康行, 林幸雄(北陸先端科学技術大学院大学)
災害発生時では時々刻々と変化する状況に応じた避難所間の救済に関わる情報, 物資, 人員配分等に関わるやりとりが必要不可欠である. 本研究では移動無線基地局等の通信ノードを避難所に配置して, 災害発生で空間的な拡がりをみせる被害より, 人口に応じた情報の送受信要求が高いところから通信網を優先的に構築する指針を検討している. 従来は不意の故障に相当するランダムノード除去や, 悪意あるテロ攻撃に相当する次数順のノード除去に対する頑健性が議論されることが多かったが, 今回は現実性のある空間的な被害から頑健性やコストを評価し, 金沢市における基地局・避難所・人口分布のデータをもとに, 実際の被害状況に適応できる通信リンクの優先的な繋ぎ方について議論する.
14.道路網状土台の上で成長する頑健な通信網の構造的特徴
松久保 潤, 林 幸雄(北九州工業高等専門学校, 北陸先端科学技術大学院大学)
災害発生時に通信インフラとして使用するアドホックネットワークの構築技術の研究が盛んに行われている.災害発生直後のインフラの復旧を想定すると,少ないリソース(少ない通信ノードと短い総延長のリンク)で多くの人が利用できるように自律成長的に頑健な通信ネットワークを構築できることが望ましい.人口分布には偏りがあるため, 人口の多い区域に多くの通信ノードを配置することで負荷分散効果が期待できる.地図上の局所的な人口分布に従って自己相似な図形で再帰的に人口分布図を分割するネットワークモデルとしてGMSQが提案されている.GMSQは道路網によく似た構造的特徴をもち,実際のインフラの復旧は道路網に沿って進む場合が多いものと考えられる.一方,リンク生成・維持コストの観点からリンクの総延長が短くなることが望ましい.加えて,カバー人口が多い通信ノードを優先的に接続することで効率的にネットワークを構築できるものと考えられる.これらの要求に対し,界面の成長モデルである侵入型パーコレーションが最小全域木を構築することが知られている.さらに,災害復旧における通信ネットワークを拡張するという状況を考えると,維持および補修に要するリソースは平常時よりも少なくできることが望まれる.そのため,上記のようなネットワークの構築には規模によらず高い耐故障性の実現が求められる.頑健性を効率的に向上させるために次数相関に基づくリンク追加法が提案されている.本報告では,人口分布に従って局所的な情報のみで自己組織化するGMSQで生成された道路網状土台の上で成長する侵入型パーコレーションクラスタに効率良く頑健性を改善できるリンク追加法を適用したネットワークモデルの成長過程における構造的特徴を解析する.
15.ピボット選択法と距離定義の違いによる類似探索性能評価
宋鵬  斉藤 和巳(静岡県立大学)
本発表では、ピボット選択法と画像データ間の距離定義の違いによるピボット類似探索性能について報告する。
実験によりCoPhIRと呼ばれる画像記述を用いた実験では、ランダムにピボットを選択する方法と比較して,
ピボット生成法は,L1距離でもL2距離でも大幅に優れた探索性能となることを示す。
16.地方自治体のオープンデータ化における情報流通ネットワーク
吉田暁生、野田哲夫、本田正美(島根大学法文学部、島根大学法文学部、島根大学戦略的研究推進センター)
行政機関が保有する公共データを二次利用しやすい形で公開するオープンデータは、大きな経済効果を上げることが期待されており、国内の地方自治体でも普及が進みつつある。その普及過程の情報流通において、自治体間での直接交流、あるいは他の自治体の公開情報へのアクセスでは、それぞれどのようなネットワークが形成されているだろうか。オープンデータを実施している全国182自治体にアンケート調査をおこない、その実態を明らかにした。
17.Characterizing spatial networks based on degree mixing patterns and inter-node link distance distributions
アリフ マウラナ、斉藤和巳、池田哲夫、湯瀬裕昭(静岡県立大学)
We address a problem of characterizing spatial networks of urban streets
by using our previous two methods and combining them.
The first method classifies these networks by focusing on degree mixing
patterns, while the second method statistically analyzes them by
considering inter-node link distances
In our experiments using spatial networks constructed from urban streets
of 17 cities obtained from OSM (OpenStreetMap) datasets,
we show that our classification results of these cities based on degree
mixing patterns can be reasonably characterized by the types of
inter-node link distance distributions.
18.民主度指数を用いた代表選と一票格差への考察
趙 亮(京都大学大学院総合生存学館)
毎年の議員選は,一票格差が違憲だが選挙は合法である,という論理的に矛盾している判断が定着している.このおかしな状況を根本から解決するために,筆者が提案しているネットワークの民主度指数の概念を用いて理想的な代表選制度を提案し,例え現在でも一票の格差が考えられているより大きくないことを示す.
19.産業連関表の質的化と中心性尺度の頑健性ーRAS法を用いたシミュレーションによる確認ー
田村肇(筑波大学図書館情報メディア研究科)
産業連関表の質的化を行う場合、中心性の尺度によっては、粗視化の度合いによる頑健性が保証されないことは、実際のデータですでに確認してきた。
今回は、これらの結果を踏まえて、シミュレーションによって多数の産業連関表を生成し、これらのデータを用いて中心性の頑健性の確認を行う。
産業連関表の生成においては、RAS法を用いることにする。
20.ネットワークの空間性と感染方法がもたらす感染症拡散への影響
佐久間 大和(静岡大学)
スケールフリーネットワーク上における感染症の拡散は,ネットワークの性質や病気の感染条件によって,どのように影響されるのか.本研究では空間的性質に差異があるネットワーク上SIRモデルで,異なる感染プロセスを導入してそのふるまいを調べた.その上で,ノードを評価するいくつかの指標とそれらがもつ拡散者としての能力との相関を調べ,ネットワークの性質や病気の感染条件が感染症の拡散にもたらす影響を,シミュレーションを用いて考察した.
21.階層的ネットワークコミュニティ分解に基づく専門用語辞書からのタクソノミー自動構築
稲木誓哉1,邱シュウレ1,渡部雅夫1,貫井駿2,村田剛志2,岡本洋1(1 富士ゼロックス(株) 研究技術開発本部,2 東京工業大学 情報理工学院 情報工学系)
近年,それぞれの領域の専門性を反映したタクソノミー(専門用語その他の階層的分類体系)の構築が求められている.そこで我々は,専門用語辞書からタクソノミーを自動構築する方法を提案する:「見出し語」−「説明文中の単語」の二部ネットワークを作る;このネットワークを階層的にコミュニティ分解する;各コミュニティに,文字列のパターンマッチおよび後方一致判定に基づいて,ラベルを付与する.製造業の専門用語辞書にこの方法を適用した結果を報告する.
22.アンケート調査による観光スポット遷移データからの異常回答検知
大石真生,鈴木優伽,斎藤和巳,渡邉貴之(静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科)
本研究では、観光客へのアンケート調査によって収集した観光スポット遷移データから、異常な回答を検出する手法について検討する。異常検出には観光客の行動パターンを学習させた拡張回遊行動モデルを用いる。観光客の属性毎にモデルパラメータを切り替えることで検出精度の向上を試みる。
23.レイヤ間の類似度に基づいた人工マルチレイヤネットワークの生成手法
名部井康博 村田剛志(東京工業大学大学院 情報理工学研究科 計算工学専攻 村田剛志研究室)
 人間関係を表すネットワークではエッジの種類として友人関係・知人関係・親戚関係などが考えられる。現実世界のネットワークにおけるエッジは多くの場合複数種類存在し、このようなネットワークはマルチレイヤネットワークで表すことができる。近年、多くの研究者によって複雑ネットワークの解析手法がマルチレイヤネットワークに拡張されている。
 複雑ネットワークの分野における課題の一つとして人工ネットワークの生成があり、マルチレイヤネットワークの分野においても、Adrian PopielらによるMuNeGやPrithwish BasuらによるBINBALLといった人工ネットワークの生成手法が提案されている。前者は、各レイヤのネットワークが同じコミュニティ構造を持つマルチレイヤネットワークを生成することができる。後者は、Erdos-RenyiのランダムネットワークモデルとBarabasi-Albertモデルを組み合わせた手法であり、ヨーロッパの飛行便のネットワークと非常に似た性質を持つマルチレイヤネットワークを生成することに成功している。一方で、現実世界のマルチレイヤネットワークでは学校での人間関係を例にとると、友人関係のレイヤとクラスメイトのレイヤのように、レイヤ間の類似度が高い場合もあれば、部活動のチームメイトのレイヤとクラスメイトのレイヤのように、レイヤ間の類似度が低い場合もある。レイヤ間の類似度は、情報伝搬や中心性の計算などのネットワーク解析結果に影響すると考えられるが、レイヤ間の類似度を扱う人工ネットワークの生成手法の研究はまだ十分とは言えない。
 本研究では、マルチレイヤネットワークの様々なデータに対して分析を行い、レイヤ間の類似度を測る尺度を決定する。そして、その尺度に基づいた人工マルチレイヤネットワークを生成する。
24.計量文献学における複雑ネットワーク解析
角谷祐輝(京都大学大学院情報学研究科複雑系化学専攻非線形物理学講座)
計量文献学とは、文献の特徴を様々な指標で数値化し、統計学的手法を用いて文献の特徴分析を行う学問を指す。従来の計量文献学において、文献の特徴は単語の長さ、単語の出現頻度、およびbigramの出現頻度などの指標を用いて定量化されてきた。本研究では、文章を単語のネットワークとして見る手法によって解析を行う。
25.ランダムウォークモジュール分解に基づく二部ネットワークからのコミュニティ検出およびその実課題への適用
邱シュウレ1,稲木誓哉1,貫井駿2,村田剛志2,岡本洋1(1 富士ゼロックス(株) 研究技術開発本部, 2 東京工業大学 情報理工学院 情報工学系)
商品購入、論文共著、文書における単語共起、その他、現実世界の多くの事象は、二部ネットワークで表現される。我々は以前に、ランダムウォークのモジュール分解に基づいてネットワークからコミュニティを検出する方法を、提案した。本研究では、二部ネットワークからも、この方法は他の方法よりも高い精度でコミュニティを検出することを示す。さらに、提案方法を購買履歴の分析に適用して得られた発見、および、提案方法による特徴抽出に基づく文書分類精度の向上について報告する。
26.niche空間上の開放進化系ネットワークの解析
杉山和也、守田智(静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻)
開放進化系のミニマルモデルが提案されている。生態系ネットワークも開放進化系の一つである。生態系ネットワークでは種間の優位性をniche空間を導入することで再現したモデルが紹介されている。従来のモデルは時間によるネットワークの発展性に関して考慮されていない。本研究で時間の経過とともにniche空間上に配置された種の絶滅と導入が繰り返された場合の系の振る舞いについて解析を行う。
27.論文引用ネットワーク分析の国際政治学への適用 ─臨界負荷量の認識共同体を事例として─
岡本 哲明、石井 敦(東北大学東北アジア研究センター)
長距離越境対汚染条約(LRTAP条約)体系における「臨界負荷量 :critical loads」の認識共同体の事例に、論文引用ネットワーク分析を適用した。Web of Scienceデータベースからキーワード検索により論文データをとりだし、このデータの論文引用ネットワークを力学モデルでグラフ描画し、目視によるクラスタの識別・抽出を行うことにより、LRTAP条約体系の臨界負荷量に関する論文を抽出した。発表では、抽出された論文に対して、共著者ネットワークや著者間引用ネットワークなど、人をノードとしたネットワーク分析を適用することで、LRTAP条約体系の臨界負荷量に関する認識共同体の実体に対する考察を示したいと考えている。
28.群れモデルに基づくオピニオン形成の変化点検出
鈴木優伽* 斉藤和巳* 風間一洋**(*静岡県立大学経営情報イノベーション研究科 **和歌山大学システム工学部)
我々はこれまでに,生物学における群知能の観点からソーシャルネットワーク上のユーザのオピニオン形成過程をモデル化し,分析を行ってきた.詳細には,集団(群れ)における各個体の行動特性である,整列(alignment),分離(separation),結束(cohesion)の考え方を導入したオピニオン形成過程を提案し,評価実験を行ってきた.本研究では,ユーザのオピニオン形成過程の特性が時系列ごとに異なる可能性があることに着目しその変化点を検出する.すなわち,時間経過におけるユーザのオピニオン形成過程の変化をみる.評価実験では,異なるソーシャルネットワークデータを用いて,分析を行う.
29.圧縮センシングを用いたネットワーク構造の圧縮と復元
川人一生,須鎗弘樹(千葉大学大学院融合科学研究科)
IoTの考え方が一般的なものとなり,そこで収集された大量のデータを効果的に
活用することが重要となってきた現代において,ネットワーク構造そのものを圧
縮・復元することは非常に重要な課題である.
本研究では圧縮センシングというスパース性を利用した情報圧縮の技術を応用し
て,複雑ネットワークにおけるネットワーク構造の圧縮と復元を試みた.
複雑ネットワークのノード間結合を推定する問題に対する圧縮センシングの有用
性を検証すると共に,少ない観測からネットワークを完全再構成する上で必要な線形変換行列の特徴を示す.
30.尖度と歪度に基づくオブジェクトの中心性分析
山岸祐己,斉藤和巳(静岡県立大学)
オブジェクト集合のクラスタリングは,統計分析,機械学習,データマイニングなどにおける基本問題である.各オブジェクトがある種のベクトルとして与えられるケースでは,K-means 法が代表的な解法であり,また,クラスターの中心を代表オブジェクト集合に限定する枠組みのクラスタリングは K-medoids(または K-median)問題として様々な解法が存在する.いずれの手法においても,計算コストはオブジェクト数に依存するところが大きく,解法によっては初期値によって品質の悪い局所解に陥りかねない.よって,各オブジェクトがクラスターの中心付近になる期待値,即ち期待中心度なるものを事前に求めることができれば,計算コストの削減や初期値配置の効率化を図ることができる.今回我々は,各オブジェクトの中心性,及び他オブジェクトとの距離分布の尖度と歪度を用いて,期待中心度をどの程度まで実現できるか検証する.